「せっかくシステムを入れたのに、結局みんなExcelに戻ってしまった」そんな話を聞くことがあります。新しいシステムを導入した。説明会もした。マニュアルも作った。でも、数か月後には一部の人しか使っていない。これ、中小企業のDXではかなり怖いことです。なぜなら、システムそのものの費用だけではなく、導入に使った時間や労力まで無駄になってしまうからです。私は、システム導入で一番避けたいのは、「高かったこと」より、「使われなかったこと」だと思っています。
良いシステムを入れれば、使われるとは限らない
機能が豊富。評判もいい。大企業でも使われている。だから、うちでも使えるはず。そう考えて導入するケースがあります。でも、実際の現場ではそう簡単ではありません。今までの仕事の流れと合っていない。入力項目が多すぎる。今までより操作が増えた。「何のために使うのか」が伝わっていない。こうなると、現場ではこうなります。「前のやり方の方が早いな」。そして、元のExcelや紙に戻ってしまいます。
現場は「便利かどうか」で判断する
経営側から見ると、「データが一元化できる」「経営数字が見える」「管理しやすくなる」というメリットがあります。でも、現場が最初に見るのは違います。自分の仕事がラクになるか。ここです。今まで3分で終わっていた入力が、新しいシステムでは10分かかる。これでは、どれだけ経営上メリットがあっても、現場には負担に感じられます。だから、システム導入では大切なことがあります。
現場側のメリットを両方つくる。
「全部入れる」より、「1つ便利にする」
新しいシステムを導入すると、顧客管理。案件管理。勤怠。日報。見積。請求。全部まとめて変えたくなります。でも、いきなり全部変えると、現場の負担も大きくなります。HIRAKUでは、まず一つ、「ここだけラクになる」をつくる方がいいと考えています。例えば、見積作成だけ。問い合わせ管理だけ。日報だけ。毎月の集計だけ。まず一つ使ってもらう。そして、「これ便利やな」という実感をつくる。そこから次へ広げる。その方が定着しやすいです。
導入前に、現場の人に聞いてみる
システムを入れる前に、現場の人へ聞いてみてください。「今の仕事で、一番面倒なのはどこ?」この質問だけでも、かなりヒントが出てきます。入力が面倒。探すのが大変。何度も同じことを書いている。承認に時間がかかる。こうした声を拾ってからシステムを考える。すると、「システムを入れること」ではなく、「この面倒をなくすために、この仕組みを使う」という話になります。現場にとっても、目的が分かりやすくなります。
「使ってください」ではなく、「使いたくなる」にする
導入後に、「今日からこのシステムを使ってください」と言うだけでは、定着しません。理想は、使った方がラクだから、自然と使う。という状態です。入力したら自動で集計される。問い合わせ履歴をすぐ探せる。同じ内容を何度も入力しなくていい。そこまでできれば、「使ってください」と言わなくても使われるようになります。
システム導入のゴールは「導入完了」ではない
システム会社との契約が終わった。設定が終わった。社員説明会が終わった。そこで、「導入完了」と思ってしまうことがあります。でも、本当のスタートはそこからです。社員が使う。仕事の流れに入る。以前よりラクになる。そして、会社の中に定着する。ここまで行って、初めて成功です。
小さく始めて、使われる仕組みにする
中小企業では、最初から完璧なシステムを入れる必要はありません。まず一つ。現場が困っている仕事を選ぶ。小さく仕組みにする。実際に使ってもらう。使いにくければ直す。そして、次へ進む。この繰り返しで十分です。
「ちゃんと使われるか」。
システム導入の成否を決めるのは、そこだと思っています。
HIRAKUからひとこと
HIRAKUでは、システムありきで提案することはしません。まず現場の仕事を見て、何が面倒なのか。何を減らしたいのか。どうなれば使いたくなるのか。そこを一緒に整理します。高機能な仕組みより、現場で使われ続ける仕組みをつくる。それが、中小企業のDXでは大切だと考えています。

